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コロンビアで犬を飼うnarumiの犬日記です。

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narumi
性別:
女性
自己紹介:

ロキ:ラブラドール♂(2003年10月18日~2014年7月12日・未去勢・血統書なし)、ボゴタ近郊コタ生まれ

ハナ:雑種♀イングリッシュ・シェパードっぽい(推定2005年3月生・不妊手術済み)、ボゴタ生まれ

Hさん:narumiの夫、ボゴタ生まれ

narumi:コロンビア・ボゴタ在住日本生まれ、このうちで唯一のガイジン
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写真特集です。2012年からの写真しかないのは、それ以前の写真が保存されていると思われるVistaマシンが壊れたからで、ハードディスクの中身を回収しようと思いつつ面倒でのびのびに……。回収できるかどうかもわからないんですが。



12年2月。犬ベッドだけで寝るのは寒いし、バリケンでは背中に負担をかける(というか痛みのために入れない)ので大きめの小屋を買いました。居間に置いてあります。アパートに占める犬関連面積がますます大きく。ハナがすごく大きく見えるのは遠近法です。



12年7月。いつのまにか起き上がるときなどに痛みを訴えなくなり、気がつくと首がまっすぐ上がるようになってるじゃないの!と感動して撮った写真。



12年10月18日の誕生日。無事に誕生日を迎えられてよかった。獣医くんの友達に出張シャンプーをしてもらいました。プロにシャンプーされる経験なんて初めて。



12年11月。こういうスタイルで散歩していました。といってもこれはシャンプーのあとの自然乾燥中。何回か、月イチで来てもらっていたんですが、あるとき、彼女が犬の耳につめた脱脂綿を取り忘れていたことが発覚し(自分で思い出して電話してくれたのがえらいと言えなくもない)、例によって夫の不信感が発動して、シャンプーは終わりになりました。



12年11月。ハナとはあいかわらず仲良し。ハナは依然として、ときどきガウガウつっかかっていくんですが、ロキはあんまり本気で相手をしないようになってきました。



13年1月。料理していると見に来るのはいつものこと。ちなみに料理をしているのは夫です。



13年2月。ここは部屋の出入り口のすぐ内側で、ハナが寝そべっているとロキは通れません。「くーん」とか気弱に訴えるのですがハナは無視。しかしロキの横目がちょっと怖い。



13年5月。獣医くんの往診中。血圧を測られています。ロキは何をされてもおとなしい。



13年5月。目線はお客さんが食べようとしているリンゴから離れません。

写真を見ていても見ていなくても、まだまだいろいろなことが思い出されます。
ありがとうロキ。
きみに会えてよかった。

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2014年7月12日、ロキは永眠しました。

前回の記事のあと、コロンビアのブログには犬のことはほとんど書いていなかったので、いま思うとこのままこちらのブログを続けておけばよかった気もします。

終わりは思いがけない形ではありましたが、それがそれほど遠くないことは覚悟していました。

ロキはなにかと故障の多い犬で、このブログのあとも目のあたりにできものができるので見てもらったら「悪性腫瘍」と言われ、除去手術をするなど、細かいことはありましたが、普通に元気な犬でした。口の中のできものを取ってもらったこともあります。
ちょっと変だな、と思ったのは、外を散歩しているときにすぐ息を切らせるようになったことです。年のせいといってもまだ7歳とか8歳とかだし、でもひょっとすると心臓が弱っているのか、などとそれとなく心配していました。あとから考えるとこれは痛みのせいだったかもしれません。

2012年1月2日の夜。ロキは突然悲鳴を上げて震え出しました。
ひどい痛みを感じているようです。
様子からして首のあたりが痛むようなのですが、それ以上はわかりません。犬は痛みに強いということなので、鳴きながら痛がるというのは非常に強い痛みなのだろうとはわかるのですが、どうすればよいのかわからず、私はただ見守っていました。
すでに夜なので獣医に駆け込むということもできず、なにより、夫は留守でした。休みなのでどこに行ったかわからず、携帯に電話しても出ません。
結局、夫が帰ってきたのは真夜中過ぎでした。新年なので友達と飲みに行っていたそうです。友達と飲みに行くこと自体が非常に少ない人なのに、本当に体調というのはタイミングの悪いときを狙って悪くなるようです。
ロキはずっと鳴いていたわけではありませんが、震えは止まりません。
夫はロキの様子を見てぼうぜんとし、たぶん酔いのせいもあると思いますが涙ぐんでいました。
翌日、救急で診てくれる獣医を探しました。近所にも獣医は何軒かあるのですが、夫は町医者をあまり信用しないので、とりあえずいつも行っていた国立大学に連絡してみました。
しかし大学自体がそのとき休暇中だったこともありますが、ほかにも何かあって大学の診療所は2月まで休診状態という返事。救急で診てくれるそこそこ設備のある獣医を紹介してもらい、そこに行くことにしました。
何軒か紹介されたうち、電話で問い合わせたりして夫が選んだのはうちからかなり南の方にある場所でした。新年休暇で道はすいているものの、思ったよりも小さな場所でなかなか見つからず、たどり着くのに2時間ぐらいかかったような記憶があります。検査はいくつかしてもらったものの、とりあえず鎮痛剤などを処方されただけでした。しかもこの薬がものすごく強かったのか、ロキは体調を崩しました。
しかし痛みは取れたようで、まあまあ普通に歩けたりするようになりました。でも元通りではありません。走ったりできないとかいう以前に、足元がしっかりせず、前足の手首の部分(おかしな言い方ですが)がふとした拍子に内側に曲がってしまい、何もないところで転びます。
次に、夫の甥の獣医くんに紹介された別の獣医に行って、ちゃんとレントゲンなどを撮ってもらいました。
結果は、何かヘルニアのような感じのものでした。私の語彙力の不足でよく理解できていませんが、夫や甥は理解しているので大丈夫です。
悪い部分が首の近くと腰の辺に2か所あるので、手術をするとしたら2回するしかない。しかしそのうち1回の手術もかなりリスクが高いということでした。
夫と話し合い、結局手術はせず、なんとか痛みなどの症状だけを抑えてだましだまし過ごそうということになりました。
私はとにかく、ロキが病院の手術台の上で死ぬのはいやでした。そもそも病院で治療行為を受けるというのは人間でもかなりのストレスです。犬には事情を話すこともできません。ロキはこれまでに何度も麻酔をかけられているとはいえ、慣れているとは思えません。病院で飼い主と引き離されて麻酔をかけられるときにどれほど心細い思いをするか。その気持ちのままで死んで欲しくない。飼い主のエゴだとは思いますが、そう考えたのです。
その後、2月に診療を再開した国立大学に行きました。手術を受けさせるつもりはないということは伝えましたが、大学の先生もその方がいいだろうみたいな感じでした。
このとき、腎臓が弱っている感じなので療法食を指示されました。
痛み止めももらった気がしますが、問題はホメオパシーを処方されたことです。
処方されてもどうせ薬はよそで買うので放っておいても問題はないのですが、私自身はホメオパシーには懐疑的なので、「私はホメオパシーは信じません」とはっきり言いました。おばちゃん先生(とはいえたぶん大学教授であろう)は「そう。でも私は信じてるの」と言っていましたが、だからといって私をむりやり説得しようとする感じでもないあっさりさは嫌いじゃありません。説得としては、「うちではいろんな犬にホメオパシーは効いてるわよ」と言われた程度でした。でもあくまでも決めるのは飼い主、というスタンスです。
しかし、一応ホメオパシーの薬は買ったのです。Wikipediaなんかを見ると中南米のホメオパシーは「貧困層などを中心に広く行われている」と書かれていますが、少なくともコロンビアでは貧困層が気軽に受けられる治療ではない気がします。1びん50000ペソくらいでしたが、これは薬の値段としてはけっこう高い。それとももっと安いのを売ってる場所もあるのかなぁ。でもそんな薬を買うぐらいならシャーマンに祈祷してもらった方がなんぼかマシのような気もしますが。
で、そのホメオパシーを飲ませようとしたことはしたんですが、まずくて飲まないので無理強いしませんでした。もったいなかった。
そういえばこのころは、処方された薬を探してあちこち訪ね歩いた記憶があります。
薬は基本的に痛み止めと腎臓の薬でしたが、もともとの問題である背骨のことももちろん考えていました。それに関して処方されたのはコンドロイチン&グルコサミンとビタミンEのサプリメントでした。これはその後もずっと使っていました。
水泳セラピーはどうかなとか考えたのですが、獣医くんが「知ってる病院がやってる」とは言ったものの、お金はともかく時間的負担がバカにならない。また、ボゴタは道路事情が良くないので、その送迎がかえってロキの負担になるのではという心配もありました。
そして獣医くんが持ちかけてきたのが鍼治療。ボゴタに人間の鍼治療をする人がいるのは知っていましたが、動物の鍼をする人がいるとは!
夫は鍼に懐疑的でした。夫がホメオパシーにそれほど懐疑的でなかったのは、そもそもホメオパシーという言葉自体をそのとき初めて聞いたからです。
私の方は、コロンビアの人がする鍼ってどうなんだろうとは思ったものの、獣医くんの紹介なので怪しい人ではないと思い、とにかくほかにできることもないわけなので、試しに頼んでみることにしました。夫の方は、私がお金を払うと言ったことと、なによりも、当時獣医の資格はあるものの定職のなかった獣医くんに料金の一部が支払われるというのが決め手となって(つまり、甥なので)なんとなく同意しました。
鍼治療が始まったのは12年の6月でした。最初は週3回くらいで1か月、あとは週2回というスケジュールでした。うちに通ってもらうことになったのでらくちんです。
先生はまずボゴタの大学で獣医学を学び、その後中国で鍼を勉強したそうです。その彼にしても、最初は「えー、鍼!? それって医療なん? 魔法じゃないの?」みたいな感じで全然信じていなかったらしい。
ちなみにコロンビアには鍼を使う獣医師が何人かいるそうですが、大半は馬の鍼らしいです。コロンビアにも競馬はありますが、鍼の対象はそれじゃなくて、パソ・フィノ・コロンビアーノという足踏みみたいな競技の馬だとか。
ロキはお客さんが大好きなので鍼の先生も最初から気に入り、半分寝たような「あー、極楽極楽」みたいな感じで30分ほどのセッションを過ごしていました。
効いたのがサプリなのか鍼なのかはわかりませんが、2~3か月後にロキの様子は改善してきました。夜中に起き上がろうとして痛みを感じ、悲鳴を上げることがなくなりました。うちの前の公園は全面的に芝生というのか草地で、あちこちでこぼこしているんですが、やがてそういうところで転ぶこともなくなりました。
もうその公園より遠くに行くことはなく、もちろんボール遊びで全力疾走などもってのほかですが、「年だから仕方がないよね」と普通に思える程度には回復したのです。
その後、ロキはずっとそんな生活をしていました。体調は獣医くんが2~3週間に1度来て診てくれました。予防注射なども彼がしてくれます。
13年の5月に私が帰省することになり、ここで鍼治療はいったん終了することにしました。
ロキの状態は安定しているし、あと、先生がメデジンに引っ越してしまったのでそれまでは週に2回だったセッションが月に1度、1週間の間に5回とかいう感じになり、夫が「こんな風に頻度を適当に変えてもいいの?」(つまり、イマイチ信用できない)とか言い出したからでもあります。たまたま夫が家にいて見ていた日に先生が針を1本回収し損なったのも原因のひとつかも。見ていると先生はいつも数えながら回収していて、その日は本当にたまたま残っちゃったんですけどね。ラテンの人はみんなおおざっぱかというとそうでもなくて、うちの夫のように、細かい人は細かいのです。
そのあと、13年の5月から14年の6月までのまる14か月間、ロキが飲んでいた薬はほぼ、あのコンドロイチン&グルコサミンとビタミンEのサプリだけでした。
リードで引っ張って体に負担を掛けると困るので、朝、ノーリードで家の前の公園を15分ほど散歩します。拾い食い防止のために口輪を付けますが、ときどき知らない人に「この犬凶暴なの?」と聞かれました。
ふだんは夫が行きますが、夫の出勤の早い日などは私が行きました。足元には不安もなく、軽く駆け足もします。
あの12年の1月、痛みがないようなのでとりあえず夫が連れ出したとき、うちのほんの目の前で立てなくなってしまって連れて帰ってくるのに苦労したことなど嘘のようでした。
1日の運動はこれで終わりで、あとは食事とトイレのほかは基本的に寝て過ごすご隠居生活でした。
ちょっとした故障といっては、寝そべっているときに前足をよく舐めるので傷になってしまったことと、今年の5月頃から睾丸から出血するようになったことです。これはあとから考えると表に出た症状だった可能性もありますが、わかりません。

状態が急変したのは7月4日の夜でした。
また悲鳴を上げ、呼吸が荒くなりました。
来るべきものが来たような気がしました。
背中の痛みがぶり返したのだと思って獣医くんに来てもらい、注射を打ってもらいました。痛みは確かにあったのだろうと思います。
注射のほかに痛み止めの飲み薬を処方され、それを飲ませましたが、翌日、足が立たなくなってしまいました。あとあしがきちんと立っていないのです。
その状態はしばらくして少し改善し、立って歩けるようになりました。しかし以前、痛みがあったときと同じ、首をうなだれたままです。
そして、むやみに歩き回るようになりました。立ち上がって私たちの寝室や居間、台所なんかに行きますが、痛みのせいなのかなんなのか、小回りがきかず、狭いところに入りこむとそこで立ち往生してしまいます。
7月4日より前は一日中寝ていて、こんな風に意味なく歩き回ることはありませんでした。
そしてその3日ほどあとだったか、夫と私の目の前で、横になっていたロキが全身をけいれんさせました。
これはおそらく、脳に異常があるのだという気がしました。このときは数十秒くらいでけいれんは収まりました。
収まると、比較的普通です。しばらくするとまた立ち上がれるようになり、そうするとまたうろうろします。
食欲は普通より少し落ちていましたが、もう療法食とか考えず(ある程度のタンパク質がないと背骨を支える筋肉が衰えて悪化するかもしれないと考え、獣医くんに相談の上3分の1ほどはそれ以前から普通のドッグフードでした)、適当にスーパーで買った犬用缶詰などを混ぜてやるとけっこう食べていました。
夫はできるだけ朝晩、ロキの体を支えながら公園まで歩かせ、トイレをさせていました。
睾丸からの出血が増えたので、最初はメス犬用のパンツを買って使ってみたのですが、十分に大きい物がなく、その後人間の子供用の紙おむつを夫が少し改造して使えるようにしました。
これからしばらく介護生活だなと思いました。考えてみると、ここ何か月かは散歩とごはんのほかはロキはずっと部屋で寝ていてめったに出てこなかったので、あんまりふれあっていませんでした。介護で補ったくらいでちょうどいいかも、とも思いました。
食べるのと排泄はなんとかできるのでものすごく大変というほどのこともありません。もっとも夫の方がいろいろやっていたかも。
うちは一応2LDKなのですが、ロキは小さい方の部屋で過ごしています。夫はときどきその部屋の予備ベッドで寝ていました。
11日から12日にかけての夜も夫はそこに寝ていました。
夜中、騒がしい感じがして目覚めると、ロキが鳴いています。見に行くとロキがけいれんというか、走るような感じで脚を動かしています。ものすごい勢いです。しかも止まりません。少し止まる時間もあるのですが、またすぐ始まります。3時半頃でした。夫に聞くと、数分前からこんな感じだと言います。治まるまで待っていようかと思ったのですが、いつまでたっても治まる気配がないのでベッドに戻って寝てしまいました。できることはないのです。朝起きると、発作はまだ治まっていませんでした。7時頃です。夫もそこのベッドで一応寝たようですが、ずっとこの調子だったそうです。心臓が弱ければすでに止まっていてもおかしくないでしょう。あるいはその方が楽なのかもしれないと思えました。
その数分後、ふと発作が治まり、ロキは眠ってしまいました。
しばらくして、ロキは立ち上がってまた歩き出しました。
気をよくした夫がロキをもっとよくサポートする(と夫は思った)ための装備を考え出し、試すためにロキの体を支えようとしてお腹を少し強く押すと、ロキが悲鳴を上げました。それに続いてまた軽い発作。
土曜日で、夫は何か仕事の約束があるのをキャンセルして家にいると言っていましたが、夫はロキの発作を見ているのが辛いようで、しかも治まると何かしようと手を出してしまい、よけいに苦しめるような気がしたので、追い出すようにして外出させました。
ロキはしばらくするとまた眠り始めました。
お腹が痛むらしいことと、そういえばお腹が張っている感じなので、内臓が悪いのかもしれないとこのとき初めて思いました。
そこで、ずっと開いていなかった Dog Owner's Home Veterinary Handbook を久しぶりに開けてみました。アメリカのアマゾンから取り寄せたものです。こんな本を買ったのはコロンビアの獣医やましてや獣医くんが信用できないというわけではなくて、私のスペイン語力のなさのせいで詳しい説明を聞いてもよく理解できないからです。獣医くんはわりと英語が話せるのですが。
状態が悪くなってから嘔吐や下痢はないので消化器ではない気がしました。腎臓は前から弱いのですが、お腹が大きくなるというのが……肝臓?
とあたりをつけて調べてみると、Hepatic Encephalopathy というのがありました。Wikipediaでこれを調べて日本語ページを見ると、肝性脳症。
肝臓の機能が弱り、濾過されなくなった毒素などが血管を流れて脳に影響を与えるというような状態のときに出る症状のようです。
本に書かれている症状は多くないのですが、head-pressing というのが目を引きました。そういえばかなり前から、ロキは頭をぐいぐい人に押しつけてくるようになっていました。それ以外には特に異常もないので気にしていませんでしたが、しきりに足を舐めること、ずっと寝ていること、ハナが裏庭でトイレをしたあとに出て行って尿を舐めようとすること、ときおり嘔吐することなども症状の一つだったかもしれません(食べ物やこの尿の匂いには敏感で、嗅ぎつけると起きてきていました。だから症状の中でも「ぼんやりする」というのはそれほど当てはまらないようです)。
闘病記を書かれているサイトさんをいくつか見ると、徘徊や腹水という症状も書かれていました。
私が本を見ている間に、ロキは発作と眠っている状態を繰り返していました。もう立てないようでした。
ただ首を起こすことはできます。水を飲ませると、かなりたくさん飲みました。
夫は7時過ぎごろ帰ってきました。
ロキは静かに、静かすぎるほどの状態で眠っていましたが、また軽い発作がありました。
私は「肝臓が悪いのかもしれない」と言って本で読んだことを少し説明しました。
夫はしばらく考えていましたが、やがて「ディエゴを呼ぼうか」と言いました。
ディエゴというのは獣医くんの名前です。このころには、私たちの間で「ディエゴを呼ぶ」というのは、彼に安楽死を依頼するという意味になっていました。
最近は彼は定職を持っていてそれもけっこう忙しいのですが、帰宅直後の彼を電話でつかまえることができ、夫が車で迎えに行きました。
私はできればロキを自然な形で見送りたいと思っていました。夫が車で迎えに行ったあとも、彼らが戻る前に自然に息を引き取ってくれればと思いました。
でも、夫が獣医くんを連れて戻ってきたときにロキはまだ息をしていました。
意識はありません。このまま放っておいたらまた目を覚ますことがあったのか、それももうわかりません。
血液検査などをしたわけではないので本当に肝性脳症だったのかどうかは確認できていませんが、こういった症状には意識の混濁、錯乱があることもあるようです。しかしロキにはそれはなく、発作と眠っているときのほかは(おそらく)苦しいながらもわりと普通でした。
うつぶせでじっとしているときに「ロキ」と呼ぶとちろっと上目遣いにこちらを見て、それがあまりにも普通なので、体調が悪いことさえ信じられないくらいでした。元気はなくなっていましたが、少ししっぽを振ることさえありました。
獣医くんはまず私たちに一応、本当に安楽死をさせていいのかどうかを確認しました。おそらくそれが手順なのでしょう。
夫が私の言ったことを話したのか、獣医くんも自分でそういう結論に至ったのかはわかりませんが、彼は「肝臓がダメになっていて有毒な血液が脳に回っているので、もし治療の可能性があるとしたら全身の血液を入れ替えるしかない。すごくお金がかかるよ」と言いました。
そのとき夫はおそらく、私と同じことを思ったのではないかと思います。お金のことではありません。
義母、つまり夫の母は糖尿病などいろいろな持病を抱えていましたが、最後に入院したとき、おそらくそれに似た治療を受けていました。彼女に意識はなく、体中に管を付けられ、外に出た血液がまた体の中に循環していくようでした。無残な光景でした。
そして彼女はそのあと回復したでしょうか。少なくとも少しは意識を取り戻して、家族と話をすることができたでしょうか。否。
私たちはそのまま、処置を続けてもらいました。
脚の血管に血が通っていないということで点滴の針を通すのに獣医くんが苦労していましたが、なんとか通り、胸のところに手を当てていると、さっきまで感じられた心臓の鼓動がふと感じられなくなりました。
午後10時過ぎでした。
ハナは邪魔をしないように別の部屋でクレートに閉じ込めてあったのですが、そのあと外に出しました。
ロキは年を取るにつれて目の回りにできものができるようになり(腫瘍があったのも書いた通りです。そのあとも腫瘍があったかもしれませんが、もう気にしないことにしました)、目やにも増えていたのを、ハナはよく舐めてきれいにしてやっていました。
ロキは、処置の直前にまた軽い発作があって目が飛び出したのか、息を引き取ったあとも目を閉じることができませんでした。ハナがその目をいつものように舐めてやりました。

ロキは翌朝早く、夫が公園の隅に埋葬しました。
「公園」と言っていますが、実際には私たちが住むアパートの共有地です。ボゴタの中には珍しくかなりの広さがあり、端の方はごく小さな雑木林と言ってもいい雰囲気で、アパートの人はけっこうそのあたりにペットを埋めていて、事実上のペット墓地になっているらしいのです。

あとから考えると、肝臓が悪いことがもっと早くからわかれば、たとえば定期検査などをしていたら治療のしようもあったかもしれません。
しかしロキももう10歳。あの12年の時点で「ダメかもしれない」と思ったことを考えると、10歳を迎えられたのは奇跡のようです。
あのときすでに腎臓も弱いと言われていたので、年とともにさらにあちこちが弱ってきたのでしょう。私個人としては、余生を病院通いに費やすよりも、一日の大半を居眠りして過ごしながら最後を迎える方がロキには楽だったのではないかと思えるのです。実際、鍼を始めたあたりから、ロキはアパートの敷地から出ることもなく、もちろん車に乗ることもありませんでした。

私は実家で犬を何匹か飼っていたこともあり、ペットの死は初めてではありません。
夫は犬を飼うのが事実上初めてということもあって、ロキが死んだらひどく取り乱すのではないかと心配していましたが、今のところはとりあえずわりと冷静でほっとしています。
もちろん寂しいし、悲しいのです。
ハナにごはんをやるときに、1匹分しか用意しなくていいのが物足りない感じです。
夫は、ロキの食事の速度がゆっくりになるにつれてハナがロキの食べ残しを狙うようになったことから、「こっちの見えないところにロキのごはんを用意しておいたら、ハナはきっとロキがまだいると思うよ」なんて言って、少し取り分けてハナにそのエア食べ残しを食べさせたりしていますが、実際には1匹分だけ用意するのが寂しいんじゃないかと思います。
私は朝食にたいていパパイヤを切って、いつも一切れずつ犬にやるんですが、そのたびに、12日の朝でさえロキはこれを食べていたのに(立てないので持って行ってやりました)と思い出します。
状態が悪くなってからは、いつも寝る前にロキの様子を見に行ったんですが、それももうしなくていいんだ、といちいち思うし、動物が鳴いたような「ぴー」という声がするとハッとします。
今月のように悪くなる前から、睾丸の出血のせいでロキのいる部屋はムッとするような、正直言って悪臭がしていましたが、その匂いさえ懐かしい。
ふだんロキはずっと部屋で寝ていて、あんまり姿を目にしなかったので、今こうしていてもなんだかその部屋にはロキがいるような気がするのです。
ハナが何を考えているかはわかりませんが、ロキは以前から入院などでときどき留守にしましたから、なんとなく、いつか帰ってくると思ってるんじゃないかという気がします。こう何日も留守にするのは許せない、帰ってきたら怒ってやろうと思っているかも。ただ、しばらくは、万一ハナがロキを探しに行こうと思ったら困るので、逃げないように注意しておくつもりです。

ところで全然関係ない話ですが、ハナの外見はイングリッシュ・シェパードという犬に似ている気がしてきました。
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